スポンサーサイト

  • 2007.01.03 Wednesday
  • -
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

一定期間更新がないため広告を表示しています


小歇(おや)

 安政の大地震の翌(あく)る年の事で、麻布の某藩邸に一種の不思議が起った。即ち麻布六本木に西国某藩の上屋敷があって、ここに先殿(せんとの)のお部屋様が隠居所として住って居られたが、幾年来別に変った事もなく、怪しい事もなく、邸内無事に暮していた。然(しか)るにその年の夏のはじめ、一匹の蛙(かわず)が椽(えん)から座敷へ這上って、右お部屋様の寝間の蚊帳(かちょう)の上にヒラリと飛び上ったので、取あえず侍女(こしもと)共を呼んでその蛙を取捨てさせた所が、不思議にもその翌晩も飛び上る、その翌々晩も這上る。草深い麻布の奥、元より庭も広く、池も深く、木立も草叢も繁茂(おいしげ)っているから、夏季になれば蛇も這出そう、蛙も飛出そう、左(さ)のみ怪しむにも及ばぬ事と、最初は誰も気にも留めずに打過ぎたが、何分にもその蛙が夜な夜な現われると云うに至っては、少しく怪しまざるを得ない。しかも日を経るに随(したが)って、蛙は一匹に止らず、二匹三匹と数増して、果(はて)は夜も昼も無数の蛙が椽に飛び上り、座敷に這込むという始末に、一同も是(こ)れ尋常事(ただごと)でないと眉を顰め、先ずその蛙の巣窟を攘(はら)うに如ずと云うので、お出入りの植木職を呼あげて、庭の植込を洗(ふ)かせ、草を苅らせ、池を浚(さら)わせた。で、それが為かあらぬか、その以来、例の蛙は一匹も姿を見せぬようになったので、先ず可(よ)しと何(いず)れも安心したが、何ぞ測らん右の蛙がそもそも不思議の発端で、それからこの邸内に種々の怪異(あやしみ)を見る事となった。ある日の夕ぐれ、突然(だしぬけ)にドドンと凄じい音がして、俄に家がグラグラと揺れ出したので、去年の大地震に魘(おび)えている人々は、ソレ地震だと云う大騒ぎ、ところが又忽ちに鎮って何の音もない。で、それからは毎夕点燈頃(ひともしごろ)になると、何処(いずく)よりとも知らず大浪の寄せるようなゴウゴウという響(ひびき)と共に、さしもに広き邸がグラグラと動く。詰合(つめあい)の武士も怪しんで種々(いろいろ)に詮議(せんぎ)穿索(せんさく)して見たが、更にその仔細が分らず、気の弱い女共は肝(きも)を冷して日を送っている中に、右の家鳴震動は十日ばかりで歇(や)んだかと思うと、今度は石が降る。この「石が降る」という事は往々聞く所だが、必らずしも雨霰の如くに小歇(おや)なくバラバラ降るのではなく何処(いずく)よりとも知らず時々にバラリバラリと三個(みつ)四個(よつ)飛び落ちて霎時(しばらく)歇(や)み、また少しく時を経て思い出したようにバラリバラリと落ちる。けれども、不思議な事には決して人には中(あた)らぬもので、人もなく物も無く、ツマリ当り障りのない場所を択んで落ちるのが習慣(ならわし)だという。で、右の石は庭内にも落ちるが、座敷内にも落ちる、何が扨(さて)、その当時の事であるから、一同ただ驚き怪しんで只管(いたずら)に妖怪変化の所為(しわざ)と恐れ、お部屋様も遂にこの邸(やしき)に居堪(いたたま)れず、浅草並木辺の実家へ一先(ひとまず)お引移りという始末。この事、中屋敷下屋敷へも遍(あまね)く聞え渡ったので、血気の若侍共は我れその変化の正体を見届けて、渡辺綱、阪田公時にも優る武名を轟かさんと、いずれも腕を扼(さす)って上屋敷へ詰かけ、代る代る宿直(とのい)を為(し)たが、何分にも肝腎の妖怪は形を現わさず、夜毎夜毎に石を投げるばかり。

訪問者のメリットを考えよう。

アクセスアップの基本は、訪問してくれる人を増やすことです。

よく忘れられてしまうことですが、あくまで訪問してくれる人が、もう一度訪問したくなるような

selected entries
categories
archives
recent comment
recent trackback
profile
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM
calendar
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< March 2017 >>
sponsored links
リンク
駆け出し小説家への道?
相互リンクの相互リンク時計
ICE & COOL
出会いサイト
出会いサイト調査団
出会いと友情
アダルトビデオ
ページランク アップ大作戦
なまちゃ
DNAと出会い
だってファンなんですもの
出会い 友情 愛情